シロアリ対策基礎
シロアリ対策基礎とは
住宅のシロアリ被害を低減させることを目的とした、ベタ基礎(2度打ち)の工法です。
シロアリが屋内に侵入しにくくするとともに、シロアリの移動に使われる蟻道の発見・除去が容易な基礎を設けます。
ベタ基礎の住宅へシロアリが侵入する経路とその対策を、基本と玄関ポーチ周辺にわけてご紹介します。
シロアリの侵入経路 基本の考え方
①基礎の立ち上がり
基礎の立ち上がりを登り、土台に到達します。特に基礎外断熱の場合、断熱材によって蟻道が隠れており、目視での発見が難しくなります。
②基礎の1回目打設と2回目打設の打ち継ぎ部
2回目打設時にセパレーターを用いた場合に発生するコンクリートの隙間や、セパレーターの腐食により発生する隙間を通過し、基礎内に到達します。
③地中埋設配管の隙間
基礎と配管の隙間を通過し、基礎内に到達します。
シロアリ対策基礎(S3)による対策
シロアリ対策基礎(S3)による、上記シロアリの侵入経路①~③への対策をご紹介します。
経路①②
基礎ベース部を基礎の立ち上がりより外側まで打設することで、シロアリは基礎の立ち上がりを登る前にベース部の天板(水色斜線エリア)を通ることになります。天板は日が当たりやすい平面となるため、シロアリが好まない環境となります。また、ベース部の天板に蟻道が作られ始めた際には、目視が容易なため、早期に除去することができます。
さらに、ベース部天板の面積を広く設ける場合には、天板が雨掛かりとなり、蟻道が雨で流されることが期待できます。
シロアリの通ることとなる天板(水色斜線エリア)には、仕上げモルタルの塗り付けは行いません。モルタルが劣化し、コンクリートから浮き上がると、その隙間をシロアリが通過してしまい、防蟻効果が低下します。
同様に、ベース部に土や砂利を被せた場合、シロアリが地中を通過するため防蟻効果が失われます。天板(水色斜線エリア)は、常に露出していることが重要となります。
経路③
配管を地中埋設ではなく、露出とすることで、シロアリが地中から直接侵入できない状態とします。
配管と基礎との接続部が高い位置に設けられると、接続部がシロアリが好まない日の当たる乾いた環境となるほか、地面からのびる蟻道の発見が容易になります。
シロアリの侵入経路 玄関ポーチ周辺
④玄関ポーチのタイル下
タイルと接着モルタルの隙間を通過し、土台や框に到達します。
⑤基礎の立ち上がりとポーチの打ち継ぎ部
ポーチの打設時に発生する隙間を通過し、土台や框に到達します。
⑥基礎の1回目打設と2回目打設の打ち継ぎ部
2回目打設時にセパレーターを用いた場合に発生する隙間や、セパレーターの腐食により発生する隙間を通過し、基礎内に到達します。その後、タイル下や断熱材部分を進み、土台や框に到達します。
シロアリ対策基礎(S3)による対策
シロアリ対策基礎(S3)による、上記シロアリの侵入経路④~⑥への対策をご紹介します。
経路④
玄関ポーチを設ける場合には、基礎の立ち上がりと同様に、玄関ポーチの打設部より広く基礎ベース部を打設しておくことで、タイル下を通過する前にベース部の天板(水色斜線エリア)を通ることになります。経路①②と同様の効果を得ます。
経路⑤⑥
基礎ベース部を玄関ポーチまで一体に打設することで、基礎の立ち上がりと玄関ポーチとの間に打ち継ぎ部が発生しません。そのため、経路④と同様、天板(水色斜線エリア)を通ることになります。
導入メリット
- シロアリの侵入防止
- シロアリが侵入しようとする際、または侵入した際の発見と除去が容易
- 少ないコストで高い防蟻効果
導入デメリット
- 基礎ベース部の打設範囲増加に伴う建築コスト増加
- 傾斜地での実施が困難
- 玄関ポーチの1段目にタイル張りやモルタルによる仕上げが施工できないため、美観が損なわれる。
※ただし、カラーコンクリート、洗い出しなどのベース部打設時に施工可能な意匠は可能
傾斜地への対応
別荘地などによくある傾斜地では、現実的なコストで基礎ベース部を地面から露出させることが困難です。
現在、傾斜地でも防蟻効果を得ることが可能となる「シロアリ対策基礎(S6)」の開発を進めています。